研究概要 |
2003年度に開催されたシンポジウムにおける口頭発表に基づき、「真理ではない星座の構築に向けて」というタイトルの下、「ドイツにおけるCS受容の在り方から、日本のドイツ文学研究は何を学び取ることができるか?」という問題を扱った論文を発表した。またKulturwissenschaftを特集した日本独文学会の機関誌では、編集長として巻頭論文を執筆し、上記の問題の考察を続けるとともに、「ドイツにおける<文化>概念を他の欧米諸国のそれと区別するものは何か?」という問題を扱ったいくつかの論文を編集した。さらに本研究課題を構成する最後の(つまり第四の)問題である「CSをドイツ文学研究再活性化のための方法として位置づける際に、メディア論を両者を結ぶ媒介項とすることができるか?」に一定の答を出すための準備作業として、Zentrum fuer Literaturforschung, Berlinで開催されたシンポジウム(Uebertragungssysteme : Literaturen-Medien-Wissen)において、"Das Ich als Medium fuer drahtlose Uebertagung, oder Menschen ohne Firewall"という講演を行った。"Auslassungen, Leerstellen als Movens der Kulturwissenschaft"に掲載した"Subject Subjekt"という論考でも、この問題を考察した。『ゲーテ年鑑』に掲載した「主体と死体-マイスターをめぐる身体性-」は、Kulturwissenschaftの立場からゲーテのテクスト群を読み直す試みである。
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