研究年度の最終年度にあたる今年度は、西フリジア語文法記述に残った最後の動詞の部分にかんする考察を進め、裏面の論文としてまとめた。扱ったのは動詞群の語順と否定である。これをもって同言語の文法記述は終了した。続く論文では、これまでの同言語の文法記述にかんする諸論文について、あとがき、参考文献、目次を添えて締めくくりとした。また、文法記述の背景をなすフリジア語群の歴史的発達と今日の言語政策・言語擁護といった歴史言語学的・社会言語学的考察として、第3の論文をまとめた。また、これと平行して、西フリジア語に近年、言語干渉による多大な影響を与えているオランダ語について、これまでの研究成果を生かして、裏面にある文法書を単行本として刊行した。最後に、これまでの約十年間にわたる西フリジア語文法記述研究の集大成として結実し、昨年度に北海道大学に提出した博士論文に大幅な手を加え、分量的にも内容的にも学術書としての体裁を整えて、「西フリジア語文法-現代北海ゲルマン語の体系的構造記述」と題した約740ページほどの単行本として、現在、学術振興会に刊行助成金を申請中である。
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