研究課題/領域番号 |
14510605
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
森野 聡子 静岡大学, 情報学部, 教授 (90213040)
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研究分担者 |
森野 和弥 静岡大学, 教育学部, 助教授 (80220078)
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キーワード | ウェールズ / ナショナル・アイデンティティ / 観光言説 / アイステッズヴォッド / ナショナル・ヒストリー / 複数文化 |
研究概要 |
平成14年度においては、主として19世紀のイングランド人George Borrowによるウェールズ旅行記Wild Walesの分析・研究に従事した。その理由は三つある。第一に、Wild Walesは19世紀中葉に書かれてから今日に至るまで読み継がれているウェールズについての代表的な観光言説であるということ。第二に、鉄道の時代にウェールズを徒歩旅行しており、前産業社会的ユートピアをウェールズに求めた、当時のイングランド人のウェールズ観が典型的に表れている点である。第三に、Wild Walesでは、土地の景観についての言説以上に、ウェールズの伝統的な詩歌や代表的な詩人の足跡についての紹介に著者の関心が置かれており、この点から、アイステッズヴォッドを通して流通するようになった「詩の国」というウェールズの民族イメージと観光言説の交錯するテクストとして大変に貴重な記録であるという点があげられる。以上のような考えから、研究代表者は平成15年夏季にウェールズで行われる国際ケルト学会でWild Walesを素材にした研究発表を行うこととし、そのための準備、資料検索を目的に平成14年12月16日より平成15年1月6日まで連合王国ウェールズ図書館において海外研修、資料収集・調査を行った。その際、共同研究者は、Wild Walesに描かれている紀行ルートをフィールド調査し、写真、ヴィデオなどの記録を作成、その調査結果をWEB上で公表するためのホームページ開設の準備に取り組んでいる。当ホームページには、これまで海外研修において調査してきた18世紀末から19世紀末にかけてのウェールズの観光ルートの詳細、現地でのフィールド調査の映像記録の他、19世紀初頭に「創られた伝統」である、ウェールズ民族大祭アイステッズヴォッドについての調査結果、特に入賞した詩の訳文を掲載する予定で設計を行っている。
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