今年度の主要な業績は、研究代表者が参加した国際会議での口頭発表である。ウェールズ大学で8月下旬に開催されたThe 12th International Congress of Celtic Studiesは、4年おきに世界中のケルト研究機関をめぐって開かれる、ケルト研究の国際大会としては、もっとも権威あるものである。本大会にて、研究代表者は'Wild Wales Revisited : the Aesthetics and Politics of the 19th Welsh Travelogues'というタイトルで発表を行い、19世紀に刊行されたウェールズ紀行文が、文明化されていない、前産業社会としてのウェールズのイメージを構築し、それがイングランドによっていかに受容されたか、また、ウェールズ人の自己定義にどのような影響を与えたかを検証した。 その他の活動としては、研究代表者と分担者ともに、19世紀ウェールズの社会事情、とりわけ民族意識の形成に不可欠な言語事情について、ウェールズ国立図書館等の文献資料を用い、調査を行った。
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