研究概要 |
1.データの作成 「金閣寺」(三島由紀夫),「恍惚の人」(有吉佐和子),「大いなる助走」(筒井康隆),「だからあなたも生き抜いて」(大平光代)に関して,日本語原本および韓国語訳本の入力および誤入力のチェック作業を完了した。 この他に「氷壁」(井上靖),「ノルウェーの森」(村上春樹),「白河夜船」(吉本バナナ),「五体不満足」(乙武洋匡)の日本語原本および韓国語訳本を入力中である。 2.対訳データベース 「金閣寺」の対訳データベースを印刷製本し,日本国内の朝鮮語研究者に配布した。 また,対訳データベースのデジタル・ファイルを朝鮮語教育研究会のホームページにおいて会員向けに公開する。 3.海外研究協力者との打ち合わせ 日本語学科上級クラスによる日本語作品の翻訳資料を入手。 4.誤訳の抽出 「毎日が日曜日」(城山三郎)の対訳データベースを元に誤訳を抽出し,分析した。その結果,日韓辞典を作成するにあたって,語彙に関しては特に同音異義語の区別を明確にすることと,日韓で異なる意味になる漢字熟語を強調すること,文化的背景を有する語彙をきちんと解説する必要があることがわかった。助詞と語尾については,文脈に左右されることが多いので,用例を豊富に示す必要があると思われる。また,慣用句に関しても,国語教育においては通常慣用句として扱われないようなものをも含めて,相当丁寧に拾い上げていく必要があることが明らかになった。また,固有名詞の読み間違いが随所に見られたことから,固有名詞に特有の慣用的な読み方を提示する必要があることがわかった。
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