研究概要 |
研究初年度の平成14年度においては各種『清文鑑』のうち、モンゴル語を含む文献の書誌学的な調査とデータ入力を中心に研究を行った。調査は、京都大学、東洋文庫、東京外国語大学、およびソウル大学、中国第1歴史档案館等に於いて行い、原本の閲覧・複写資料の収集を行った。これらのうち、1792年序の『御製満珠蒙古漢字三合切音清文鑑』と『五体清文鑑』を分析資料の対象としてとりあげることにした。前者は満洲文字と漢字によって発音を表記している点で特色があり、後者は『清文鑑』の大成として最も豊富な語彙が含まれていることによる。 データの入力作業としては、『三合切音清文鑑』に関しては、モンゴル文語形と満洲文字によるモンゴル語の発音表記をローマ字転写形で入力し、それに漢語の対訳を漢字で入力した。『五体清文鑑』に関しては同様にモンゴル文語形と満洲語のローマ字転写、それに日本語の意味を入力した。日本語の意味に関しては、1966年に京都大学内陸アジア研究所から出版された『五体清文鑑訳解』の和文訳を利用した。『三合切音清文鑑』は約14,000項目、『五体清文鑑』は約18,700項目におよぶ。上に述べたモンゴル語、満洲語、漢語、および日本語訳の入力は今年度の作業でほぼ完了し、点検・校正の作業を進めている。これらの入力データは、「モンゴル文語形による語彙の検索」を可能にし、さらにモンゴル語の語彙索引を作成するための基礎資料として利用する。
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