エドワード・サピアが収集したヌートカ語資料はアメリカのアメリカ哲学協会(American Philosophical Society)と、カナダの国立文明博物館(Canadian Museum of Civilization)に保管されているが、今年度はサピアのフィールドノートの現物を所蔵しているアメリカ哲学協会のアーカイブの資料を重点的に調査した。国内での予備調査のあとアーカイブを訪問し、ヌートカ語およびその姉妹語に関するサピアの資料を調査、カタログを作成した。24冊にのぼるフィールドノートについては内容に関する詳細なインデクスを作成した。 テキスト資料の処理については、まずサピアのフィールドノートに採集された76のテキストのコンピユータへの入力を開始した。入力作業と平行してテキストの形態分析・文法解析の作業も開始した。また、テキストの分析を進めるうえで必要な補助資料(言語、および民族史資料)を得るために、短期のフイールド調査をカナダ、ブリティッシュコロンビア州、バンクーバー島のポート・アルバーニで行った。文法分析の情報は原語テキストの行間に埋め込む形で埋め込み、文法解析付のテキスト資料として出版するための加工がしやすいようなかたちをとっている。 語彙のデータベースについては、その設計、試作をスムーズに完了し、語彙データの入力を開始した。データベースのフォーマットは、さまざまな検討を重ねた結果、もっともデータ加工が効率的に行えるよう、タグによってフィールドを分割したテキストファィルの形を採用した。 資料調査、データ処理・分析の全般にわたって研究協力者の中山久美子(カリフォルニア大学大学院;ニティナト語研究)の支援を受けた。
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