本研究2年目の平成15年度は以下の作業を進めた: アメリカ哲学協会とカナダ国立文明博物館所蔵の関連資料を画像PDFの形に電子化し、特にテキスト資料についてはインデクスをPDFに埋め込み元資料への参照を効率的に行えるようにした。 手書きのテキスト資料およびそれに付随する注釈は、引き続き入力を進めたが、作業には予想以上に時間を要している。これに関しては、データの起こしを、アメリカ哲学協会のアーカイブ所蔵のフィールドノート資料とカナダ国立文明博物館所蔵のタイプスクリプトとをつきあわせ、表記を確認しながら慎重に行っていることも要因であるが、フィールドノートの筆跡が大変解読しにくいことが大きな障害となっている。コンピュータに入力されたテキストは、言語研究の基礎資料としての付加価値をつけるべく、形態分析・文法解析を加えた。文法分析の情報は、原語テキストに平行したグロスのかたちで埋め込み、文法解析付のテキスト資料として出版するための加工がしやすいようなかたちをとっている。 テキストの分析と平行して、語彙のデータベースも順調に拡張している。このデータベースにはテキストで現れた語形態素のすべてを取り込み、最終的にはテキストと有機的にリンクさせ、テキスト資料の中での用例検索やコンコーダンスの作成などを可能にすべく準備を進めている。 テキストの分析を進めるにあたり、アーカイブ資料からだけでは明らかにならなかった言語情報、民族誌情報、そしてテキストの背景説明となる補助資料を得るために、カナダ、プリティッシュコロンビア州、バンクーバー島のポート・アルバーニで聞き取り調査を行った。 データ処理、分析、および編集の作業の全般にわたって、研究協力者である中山久美子(カリフォルニア大学大学院)に支援をうけた。
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