本年度は以下の研究を行った。 (1)多義語としての格助詞の意味構造に対する分析 これまで格助詞デ、ヲ、ガについてはその意味構造を明らかにしたが、本年度は昨年度の研究を基盤にニの意味構造について明らかにした。この研究結果は「認知主体の把握のしかたと格助詞二の多義構造」、「格助詞ニの意味構造についての認知言語学的考察」として発表した。 また3年間の格助詞の意味構造研究の成果は日本エドワード・サピア協会の第19回研究発表会で「日本語の格に対する体系的特徴づけ」という題目で口頭発表した。 (2)格助詞の意味構造と習得との関係に関する分析 プロトタイプを中心とした格助詞の意味構造が習得とどのような関係にあるかを、格助詞デについて分析し、論文「格助詞デの放射状カテゴリー構造と習得との関係」などとして発表した(もう1件は投稿中)。 また格助詞の習得に認知的な要因がどのように関わりあっているかについて、韓国語母語話者の中間言語データをもとに考察し、「韓国語母語話者の格助詞習得に関する認知言語学的研究」にまとめた。 (3)母語話者と学習者の格助詞の意味構造の違いに関する分析 日本語母語話者と日本語学習者(韓国語母語話者)の格助詞デの意味構造(放射状カテゴリー構造)に関するデータを収集し、格助詞の意味構造が母語話者と学習者でどのように異なっているかを明らかにした。本研究は韓国日本学会第70回学術大会で「日本語学習者と日本語母語話者の持つ「で」のカテゴリー構造比較」として口頭発表し、現在論文としてまとめている。 (4)報告書の作成 3年間の研究成果は報告書として近日中にまとめられる予定である。
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