研究概要 |
平成14年に続き15年においてもグルジア共和国でアブハズ語話者より動詞を中心にしたアブハズ語調査を約1箇月にわたって行った.またこの調査資料を国内で整理しデータベース化した.調査とその成果は以下の通りである. 1.約600語の動詞の終止形と非終止形の人称・クラス接辞をそこに現れる母音シュワーのヴァリアントも含めて記述し,これを整理しデータベース化した.これによってアブハズ語動詞の基本的な動詞の活用パターンを網羅的に記述することができた. 2.動詞複合体に現れる各種の文法範疇(使役,version,可能性範疇,不随意性範疇,疑問,否定等)の接辞の働きを調査し,これを整理した.これによってアブハズ語の動詞形態論の中心事項を全て記述することができた. 3.様々な文を用いて,アブハズ語の時制とアスペクトの働きを調査し,これを整理し記述した. 4.アブハズ語のテキストをインフォーマントの協力の下で動詞を中心に分析し,これをロシア語に翻訳した.さらにこれから得られた様々な文法情報や語彙をデータベース化することにより,アブハズ語の基本語彙集の作成準備を行った.およそ2千語以上の語彙集を文法情報を付けて作成した.これらのテキストと準備段階の基本語彙集は,次の計画である「アブハズ語のテキスト分析と基本語彙集作成」の準備となるものである. 5.これらの全ての研究を纏め,科学研究費成果報告書にはアブハズ語動詞構造の研究と予備的なものであるテキスト分析,および動詞活用を含めた基本語彙集を付けて出版する計画である.
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