本研究は、日本の伝統的な言語研究としての国語学と、輸入学問としての言語学の概念を統合し、相互に利用可能な用語集を構築することを目的とする。このためには、国語学、言語学双方の最先端の知識をつきあわせ、深い検討を加えていく作業が必要である。このために、申請者は次のような活動を行った。 関西言語学会の2002年の大会では「係り結び」をめぐって生成文法、機能文法、国語学それぞれの研究者を集めてシンポジウムを行った。その報告・総括を2003年のプロシーディングスに発表した。また国語学会の2003年春季大会では、日本語史における記述と理論の統合をめぐるシンポジウムを企画・運営した。その報告は『国語学』誌上に発表している。 一方で、申請者はプラハ(チェコ共和国)、ミシガン(アメリカ合衆国)、北京(中国)、ソウル(韓国)に出張し、現地研究者と交流、意見の交換を行った。ことにミシガン州立大学では国語学を学ぶ大学院生を動向、現地において研究会に参加し、研究発表および討論を行わせた。 なお申請者は個人的に、生成文法、機能言語学等の理論を基盤として、日本語の言語変化を分析する研究を進め、講義・研究会等で発表するとともに、雑誌論文として公開した。 これらの活動を踏まえ、本来の目的である国語学・言語学の対訳用語集の構築にも取り組んでいる。雑誌『国語学』要旨、『言語学学術用語集』、『国語学大辞典』、The Languages of Japanその他から用語を収集・整理し、データベース化した。この成果は一部を研究成果報告書で公開するとともに、近日中にホームページを通じて公開する予定である。
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