研究課題
当該研究課題の最終年度として、生成文法理論、その中でも、極小主義プログラムにおける最新の位相理論における経済性原理の尺度として、数学・計算機科学で演算量・演算複雑性との関係の研究で締めくくった。位相理論では、虚辞構文で問題となる、併合操作が移動操作に優先するとの仮定維持のため、語彙部分配列の概念が導入されたが、その決定には、統語構造派生演算の前処理を必要とし、初期語彙配列の残存語彙数に対して指数関数的候補からの選択となり、現実的に経済的演算とは言えないことを究明した。それに代えて、各演算段階で構造内に残存する解釈不可能素性の数に基づき、より少ない解釈不可能素性を残す演算操作を優先するという動的経済性原理として、最少素性保持原理を提案した。この成果は、第21回イスラエル理論言語学会/2005年度イスラエル計算機言語学セミナー合同年次大会(イスラエル工科大学)にて口頭発表し、その講演集録はインターネットで公開掲載されている。また、語彙部分配列の指数関数的候補からの選択は、演算量・演算複雑性理論での非決定性多項式時間クラス以上となるが、提案した最少保持原理では、初期語彙配列での残存語彙数に対し、多くとも線形関数以内の操作回数で最適操作が決定でき、非決定性線形時間クラス以内に収まることを究明し、その成果は、5月に開催される、現代統語理論でのインターフェイスに関する学術会議(キプロス大学)にて口頭発表に採択され、発表が決まっている。また、句構造派生における演算操作回数が問題となる主要部移動は、主要部への付加移動ではなく、指定部への代入移動であるとの自説を、西南スラブ諸語とゲルマン諸語で適用分析した。その成果は、4月に開催される、第37回ポズナニ言語学集会(アダム・ミキエヴィッツ大学)にて口頭発表に採択され、発表が決まっている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Proceedings of the Israel Association for Theoretical Linguistics http://atar.mscc.huji.ac.il/~english/IATL/21/ 21
ページ: 19