1 2003年の7月から8月にかけて、東京都文京区の根津・西片地区で、合計262人に対する面接調査を行った。主な目的は、1981年に行った同様の調査結果と比べ、この20年ほどの間にどのような敬語使用の変化があるのかを見ようとすることだった。 2 文京区役所でのサンプリングでは、1981年の時と同様に被調査者を選択して、事前に依頼状を配布し、個別に訪問するようにした。 3 実際に調査してみると、調査不能が非常に多かった。特に若い人に面接できない例が目立った。これは、若い人の人口が減っているだけでなく、特に根津地区でマンションが急増し、そこに住む人の意識が変わり、またオートロックとインターホンで調査を断りやすくなったことなどが影響している。しかし、それだけではなく、全体に、調査に対する警戒心が強くなっているように思われる。 4 サンプリング調査がうまくいかないことから、急遽、町会役員に依頼して、そこから紹介してもらう方式を採用した。厳密に言えば、1981年の調査結果と比較できないことになってしまうが、調査不能があまりに多すぎては、どのみち比較ができないので、やむをえない判断であった。 5 調査の結果、男女差・両地域の差などは基本的に変化していなかった。しかし、年齢差の傾向は(1)親しくなくとも年下の人にはぞんざいに待遇する若い人の行動は20年を隔てても同じであった、(2)親しい人に対する言葉遣いが若い人では非常にぞんざいになる傾向は、20年間で進み、今や中年層までがそのような行動をするようになってきた、という変化と不変の両方が見られた。 6 平成16年度は札幌での調査を予定していたが、15年度の調査の状況から、これを取りやめ、再度根津・西片地区での補充調査を行うことにした。
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