2002年には、文献調査を主に、現在の敬語研究の進展状況を調査した。 2003年には、文京区根津・西片地区において、敬語の面接調査を実施した。1981年に行った調査と同様に対象者を選び、同じ方法で実施した。しかし、その方法では1000人に依頼しても199人しか調査できず、1981年の時の488人にはるかに及ばない。そこで、途中で、現地の町会からの紹介を受けて回答者をお願いすることにした。最終的には262人を調査することができた。 2004年には、再度同じ地区で町会からの紹介を主な手段として同じ内容の面接調査を実施した。今回は、186人に面接することができた。 こうして、2003年と2004年のデータを合わせて集計・分析することで何とか1981年当時の結果と比べることができるようになった。 調査の結果、男女差・両地域の差などは基本的に変化していなかった。しかし、年齢差の傾向は(1)親しくなくとも年下の人にはぞんざいに待遇する若い人の行動は20年を隔てても同じであった、(2)親しい人に対する言葉遣いが若い人では非常にぞんざいになる傾向は、20年間で進み、今や中年層までがそのような行動をするようになってきた、という変化と不変の両方が見られた。 近所の人に対する言葉遣いでは、近所づきあいの程度に応じた言葉遣いが見られた。すなわち、親しい人にはややくだけた言い方をし、あまり親しくない人に対してはやや丁寧な言い方をするということである。親しさの程度で説明できる部分を除いても、さらに近所の人に対する言葉遣いに地域(それに性別や年齢など)との関連があるかを調べてみたが、それは明確にはできなかった。
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