研究課題
主要言語にかたよりがちなロマンス語の研究を再検討し、少数ロマンス語研究における新しい方法論の確立をめざす本課題研究であるが、今年度(3年目)は、研究統括者でまた主としてサルジニア語の研究を主題とされていた菅田茂昭教授の定年退職により、あらたに研究統括者となった遠山一郎(ラテン語学)と、同僚の瀬戸直彦(中世フランス語)の研究が中心となった。遠山は、従来より進めてきた古典ラテン語の接頭辞CUM-の使用例の網羅的な調査を続けるかたわら、あわせて、中世ラテン語においてこの文法形態がいかに使われるかを、Charle Du Fresne DucangeによるGlossarium mediae et infimae latinitatisの初版本により考究した。瀬戸は、俗ラテン語から、中世フランス語(南仏のオック語・北仏のオイル語)への変遷を、主として、抒情詩の諸写本におけるヴァリアントを検討することによって確認した。またラテン語による聖ヴー(Saint Volt)の伝説が、イタリアのルッカから、いかにフランスの各地に伝播したかを、文学テクストを援用し、さらに語彙上の変化を考察することにより明らかにしようとした。次年度は、本課題研究の最終年度にあたり、遠山・菅田・瀬戸の研究の総合的なまとめを試みるつもりである。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (2件)
La France Latine(CEROC, Raris IV) 139
ページ: 251-270
早稲田大学大学院文学研究科紀要 48
ページ: 23-38