研究課題
基盤研究(C)
研究期間中(2002年度〜2004年度)、日本語及びアメリカ英語の感情音声表現について、音響的、調日的、知覚的特徴を様々な実験によって観察した。それらの結果は、総計25の雑誌・予稿集論文として公表した。主な研究結果は下記の通りである。(1)自発的感情音声を対象とした調音的・音響的観察によれば(実験は厚木のNTT研究所で実施)、日本語、アメリカ英語とも、"悲しみ"と"模倣された悲しみ"の表現が、a)朗読音声の場合となること、b)類似した音響的特徴(高いF0とF1及び音質の変化)を有すること、c)しかし唇、顎、舌などに関する調音活動には差異がみられること、が明らかになった。また聞き手によって"悲しみ"と評価される発話は、高いF0と音質の変化を伴う。これらの結果については、200年9月(沖縄L)、2004年9月(東京)、2004年10月(韓国)で報告をおこなった。(2)ある文を異なったスタイルによって発話した時の感情表現は、リズムパターンとピッチの双方が変化し、ストレスパターン(音節と境界のマグニチュードによって表現される)はしばしばイントネーションとは関係なく実現される。これらの結果については、2004年9月(沖縄)で報告をおこなった。(3)日本語のパラ言語情報について、日本人と米国人を被験者とした知覚実験を実施した。日本語母語話者はパラ言語情報のタイプを三次元の知覚空間内に位置づけて正しく同定していた。一方、非母語話者のうち日本語を学習したことのある被験者群は、母語話者に酷似した三次元知覚空間を構成しているが、学習暦のない被験者群の知覚空間は二次元であることが判明した。また母語話者の知覚空間内における刺激の散布を従属へ変数、各刺激音の音響分析結果(ピッチ、持続時間、スペクトルなど)を独立変数とした重回帰分析をおこなうと、両者間の重回帰係数は0.8以上に達することが判明した。
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