本年度は3回の研究会を開き、プルゥタルコスに関する基礎的な研究が発表された。 第1回、瀬口昌久氏による「プルタルコス『健康のしるべ』における医学思想」は、プルゥタルコスに見られる医学思想とプラトンとの関係を明らかにするものであった。 第2回目は、筑波大学名誉教授、柳沼重剛先生を招聘し「プルタルコスの伝記と「性格」」と題して、『列伝』にみられるプルゥタルコスの「性格」についての思想を発表していただいた。 さらに第3回においては、研究代表者である廣川洋一先生により、「「忠告」としての哲学とプルゥタルコス-プルゥタルコスの読み方」という表題のもとに、以下のことが論じられた。まずプルゥタルコスは、古代の様々な思想と関連しており、多面的、複合的に考察する必要があるということ。そしてその中で、プルゥタルコスを「性格」を形成する者としての哲学者と位置付けることが可能であること。その上で、古代哲学において特徴的に見られる「忠告」としての哲学のもとで、プルゥタルコスはどのように位置付けられるのかを見定めることが今後の課題であること。とくに『モラリア』と『列伝』がそれらにおいて果たしている役割を明らかにしなければならないということ。以上である。これらの方向性をふまえて、研究会では次年度の発表会の予定を定め、分担者、協力者に課題を割り当てた。
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