最終年度である本年は3回の研究会を開き、プルゥタルコスの『英雄列伝』に見られる人柄描写を『モラリア』で語られる倫理観との関連で考察するという、本研究の最終目的に照らして、以下の発表がなされた。 第1回 6月19日 渡辺華月氏 プルタルコスにおける生成するものとしての魂 廣川洋一氏 プルゥタルコスの方法-『列伝』とその基礎としての『モラリア』 第2回 10月9日 和田利博氏 プルタルコスによるエピクロス派の友愛論批判について 丸橋裕氏 プルゥタルコス『コリオラーヌス/アルキビアデース対比列伝』を読む 第3回 12月11日 野村昌章氏 『ソクラテスのダイモーンについて』におけるソクラテスの主知主義について 田中龍山氏 プルタルコス『列伝』における比較の観点と徳 濱岡剛氏 プルタルコス『アゲシラオス』における名誉愛と友愛関係 以上の発表において、プルゥタルコスの倫理観は、ヘレニズムの多様な立場からの影響を受けつつも、基本的にはプラトンの思想を踏襲していることが、あらためて確認された。 また三年間の研究をまとめ、研究報告書『プルゥタルコスの総合的研究-『英雄列伝』の人柄描写と『モラリア』の倫理観』が作成された。
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