小渕内閣時代に取りまとめられた「21世紀日本の構想」は、「日本のフロンティアは日本の中にある」で始まる。このことばは、そのまま、日本の都市田園を問わず、現代の日本の国土のあり方、そして都市や町の姿とその抱える問題に当てはまる。世界第二位の経済大国となったはずの国の社会資本の実質は、日本が目標としてきた欧米の都市の豊かさに遥かに及ばない。 アメリカのまちづくり、都市計画は、土地の所有者、なかんずく、持ち家の主が、如何にして自分達の財産の価値を維持し、向上させるかという営みが集団化した形で展開されてきたところにその大きな特徴がある。日本では、都市計画は、「公」による規制であり、国の事務として展開されてきた。これに対し、アメリカでは、「私」が先ず原点にあり、「私」を守り、その価値を集団的に高めるものとして、公的規制が構想され展開されてきたところに特徴がある。このことは、アメリカでは、一戸建て住宅地域の規制が、わが国のそれより遥かに厳しい所に端的に現れている。 現在わが国が、地方分権改革を含む様々な改革の中で求められているのは、国の富を創出し、蓄積していく行き方に関する、原理的な発想の転換である。今後の都市計画・土地利用法制の進むべき道も、こうした大きなコンテクストの中で構想されるべきであり、この必要とされている発想の転換を促し、それを具現化してゆくものであること、その意味で、従来の制度とは根本的に異なるものが求められていると言える。
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