研究課題/領域番号 |
14520005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平島 健司 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (40156659)
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研究分担者 |
安藤 研一 静岡大学, 人文学部, 助教授 (40232095)
佐藤 岩夫 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (80154037)
工藤 章 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (90092197)
小川 有美 立教大学, 法学部, 教授 (70241932)
遠藤 乾 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (00281775)
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キーワード | EU / ガヴァナンス / 正統性 / 政体 / 社会構成主義 / 制度 |
研究概要 |
1990年代、欧州共同体はマーストリヒト条約を一つの里程標として、経済的共同体を超える政治社会共同体へと向かい始めた。他方、共同体は新たに生じた問題についても解決を試みてきたが、それらの政策的対応の中には従来とは全く異質のものも含まれた。その結果、共同体の政体そのものが大きく変容しつつある、といえる。本研究は、バイオテクノロジー規制などの分野横断的な政策を素材として、90年代における共同体の質的変化をさまざまな角度から明らかにしようと試みた。 その成果としては、第一に、市場の次元については、製薬業における規制レジームの形成と経済通貨統合による共通通貨体制の形成とそれが構成国の財政政策に及ぼす影響について明らかにすることができた。第二に、政治の次元については、共同体の諸機関と社会的主体の間に形成される政策ネットワークと、欧州議会を中心とするヨーロッパの政党システムの形成について一定の見取り図を得ることができた。また、法の次元についても、市場競争とそれ以外の諸価値との対抗関係に着目し、ソフト・ローの概念や社会的構成主義の視座を援用することによって、ヨーロッパにおける法規範体系の形成を分析する手がかりを得ることができた。 今後の課題は、分野横断的な政策の事例研究を拡大するとともに、経済、政治、法の側面に関する分析概念の相互関係を明らかにしながら、さまざまな側面から考察された共同体の変化する政体像を総合し、全体像を構築することにある。
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