研究概要 |
1.「死」の自己決定権論に関する理論的研究 医療空間において,「死」の自己決定を含めた患者の自己決定権の特質とその位置づけについて研究を行い,患者の自己決定権は,種々の位相空間で様々な存在形態をもちうるのであり,またそうあらねばならないということ,および他者,特に家族とのコミュニケーションの中で自己決定の内容は種々の精査と変容を受けるということを,「医療空間において自己決定はどのような位置にあるのか・・・・医療問題と公共性」において明らかにした。 2.「死」の自己決定権に関する比較法的研究 比較法的な研究としては,日韓のヒト胚をめぐる法的規範の形成の在り方を研究し,生命倫理規範の形成における両国の類似点および相違点を探究し,「ヒト胚の研究規制・・・・日韓比較研究」においてまとめた。また,東アジア法哲学会において報告を行い,東アジア型の家族基底的な生命倫理規範の可能性を論じ(「東アジア型生命倫理規範の構築」),韓国および中国の研究者から賛意を得た。さらに韓国での生命倫理関係の初の統一法「生命の倫理および安全に関する法律」を翻訳した。 3.アンケート調査のデータの解析 昨年,韓国でおこなった安楽死の調査の結果について,そのデータ解析を行ったが,データの取り方で韓国の研究者のとの打ち合わせの不備からその処理に手間取り,なお解析結果を発表することができなかったが,近いうちに発表する予定である。
|