研究課題/領域番号 |
14520012
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
岩本 一郎 北星学園大学, 経済学部, 助教授 (30271620)
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研究分担者 |
井上 匡子 愛知学泉大学, コミュニティ政策学部, 助教授 (10222291)
倉田 聡 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (90261263)
吉田 克巳 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20013021)
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キーワード | 家族 / 家族法システム / ケア / ジェンダー / 社会連帯 / 公私 |
研究概要 |
今年度は、次年度の研究報告会に向けて、それぞれの研究分担部分につき個別に研究を進めた。 研究代表者の岩本は、「ケアの権利は可能か」を今年度の研究課題の中心に据えて、ケアの道徳と権利の道徳との両立可能性について考察してきた。そのなかで、ケアの道徳のみに基礎づけられた政治的な実践は、パターナリズムと支配の問題をはらみ、あらためて権利の道徳(再構成は必要であるが)をケアの実践に組み込むことの重要性を確認した。 吉田は、今年度、21世紀の家族像を考える上で避けて通れない課題であるジェンダーについて集中的に検討した。近代市民社会における公私二領域区分の成立とジェンダー秩序、現代市民社会への変容とジェンダー秩序の関係、現在問題になっている家族法改正問題とジェンダーなどが検討課題であった。その中で、ジェンダー秩序克服の理念としての平等と自由、そしてその相克という視点を析出した。 倉田は、社会保障法の観点から「家族」問題を取り扱うに際し、まず社会保障システムのなかに存在するさまざまな共同体のあり方について統一的ないし総合的な観点を導き出す作業を試みた。その結果、「社会連帯」という概念およびその規範内容の整理が、社会保障における家族を含めた共同体の位置づけに有用であるとの結論に達した。 井上は、主に市民社会論との関連の中で、<公私>区分論の批判的検討を行った。その過程で、実定法の領域との有機的協働の必要性が痛感された。個別法領域では、男女共同参画社会基本法に基づき各自治体で策定が進む条例や懇話会(愛知県・名古屋市・豊川市・岡崎市など)などでの議論や具体的な施策立案を理論的に検討した。また、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の具体的な問題点について、検討した。
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