研究課題
基盤研究(C)
1989年東欧革命は、西欧地域の統合深化と連動して、21世紀におけるヨーロッパの方向性を規定づけると共に、ソビエト連邦解体の一要因となった。東欧革命をポーランドと共に先導したハンガリーの戦後国制史に関する総体的分析は、現代社会=社会の構造的変動の解明にとって不可欠の意義を有している。本研究は、かかる分析課題について、(1)戦後人民民主主義革命、1956年民主化革命および1989年市民革命という「三つの革命」と国制変容の連関、(2)これらに内在する「合法革命Lawful Revolution」というハンガリー法制の中に固有の法観念、(3)G. Luka'cs及び'I. Bibo'の政治、法瞑想という三つの分析基軸に基づいて究明するものであった。戦後ハンガリーの政治体制は、協力な議会と弱い大統領の組合せによる元憲国家として再出発したが、1949年憲法体制によりソビエト型民主主義原理を受容した結果、議会制を維持しつつソビエト型権力形態を構成するという逆説的構造を創出した。その矛盾の顕現が、社会主義体制内の民主化を求める1956年革命であり、1988年〜89年の社会主義的立憲国家の探究・試行であった。その帰路が、1989年における体制的性革から体制転換への変移であった。1949年憲法改正による1989年十月移行期憲法体制の創出は、議会外における政治・社会勢力の対話-交渉を通じて実現されたのである。強い議会と弱い大統領の組合せが復活すると共に、立憲国家を防衛しかつ創造する新たな国家装置として憲法裁判制度が導入されることになった。叙上のことが、本研究によって、実証的に解明されると共に、理論的な説明が与えられたと考える。
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早稲田法学 79巻2号
ページ: 1-24
比較法学 37巻2号
ページ: 2-25
比較法学 38巻1号
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Waseda Hogaku Vol.79, No.2
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比較法学 37巻1号
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Hikaku Hogaku Vol.37, No.7
ページ: Vol.37, No.7