研究概要 |
「EUからEU圏外への個人データの移転に関するプライバシー保護原則の研究」と題する研究の研究成果は三つの部分から成り立っている。ひとつは、「個人データ保護に関するOECD8原則の今日的意義」という論文にまとめている。この論文は個人データ保護に関するOECD8原則をわが国において十分に確立されなければ、EUから日本への個人データの移転が起こらなくなるという問題意識に基づいて書かれている。私の研究課題は主にセーフハーバー・プライバシー保護原則であり,研究期間の途中で標準契約約款方式を加えたが,これらを実施する前提としてOECD8原則を完全に実施することが不可欠であると確信するに至った。OECD8原則は重要性はこの課題を研究する前から認識していたが,その重要性は当初の想像を上回るものであった。 この研究のタイトルにある「EUからEU圏外への個人データの移転に関するプライバシー保護原則」とは科研費の申請当初はセーフハーバー・プライバシー保護原則を念頭においていたが、研究の進展につれ、標準契約約款方式を含めて考察しなければ日本にとって比較法研究の意味がないと確信するにいたり、研究対象を拡大した。「EUからEU圏外への個人データの伝送に関するプライバシー保護」という論文は比較法的観点から両者を検討し,日本のプライバシー保護が不十分であることを指摘している。 「セーフハーバー協定と公正信用報告法」という論文はセーフハーバー協定が公正信用報告法に与えた影響を検討して,わが国が同様の協定をEUと締結した場合に国内法上生じる問題を探っている。
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