研究申請書に記載した研究の目的と計画に沿って、特に、「法と経済」学の視点から現行法を見直し、新しい法制度を提案している。目下、その視点からの提案を自治実務セミナーに毎月連載している。「風営法パチンコ出店妨害事件の解決策」、「救急救命士法と医師法の調和点-医師法に殺されてはたまらない-」、「景観条例の強化」、「屋外広告物条例の強化」、「たばこ、酒の自販機を規制できないか」、「鷹巣町高齢者安心条例」、「邪魔な横断歩道橋を廃止せよ」、「産業廃棄物の法制度設計」、「自治体・官庁・企業版法令コンプライアンス制度」、「兵庫県の産廃処理条例の検討とPCのあり方」といったものである。これは一見簡単な解説ものと誤解されるが、最先端の法システムの提案のつもりである。 また、告発者を保護する法制が内閣府で検討され始めているが、内部告発者の保護と褒賞金の法システムを設計する論点を網羅的に提示し、その方向付けを行った。外国法をふまえつつ、それを乗りこえるつもりである。 一つの法制度の創造に際し一人の研究者がまとまった検討を行うことはこれまでも少ないが、進行中の行政事件訴訟法の改正については、改正の基本的な方向付けと条文案を作成し、3月1日には日弁連のシンポジウムで提案した。これはこれまでの公権力とか行政裁量、行政の第一次的判断権などの発想とは絶縁し、世界に輸出できる、優れた法制度の提案のつもりである。また、現行制度について、包括的・実効的な救済の確保の観点からの解釈法学を整理した。これは近く出版する予定である。 新宿歌舞伎町の火災を契機に消防法の改正が行われたが、中途半端と評価される。法律の不備による悲惨な災害(法災)を防ぐため、違反者に対する執行罰、反則金、使用停止命令の活用、その他、消防当局の監督権の適切な行使を目指す提案を行った。
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