英国の情報公開法(The Freedom of Information Act 2000)の施行は5年間の準備期間を設けて、段階的に実施される。その実施に責任を負うことになった大法官(The Lord Chancellor)が、2001年1月13日に、貴殿院で発表した実施予定表によればすべての「公的な機関」(Public Authority)に対する個人の情報開示請求権が最終的に実施に移されるのは2005年1月であり、それにむけて、各種の準備作業が計画されている。そのなかでも特に重視されているのが、「公的な機関」が法律の定める「情報公表計画」(the Publication Scheme)を、2002年11月から2004年の6月までを6段階に区切る実施予定表に基づいて、作成し、実施に移すことである。このような英国における情報公開法の実施過程の分析を目的とする本研究は当初の研究実施計画に基づき、第一に、大法官府(The Lord Chancellor's Department)と情報コミッショナーの指揮の下での情報公表計画の作成・実施を軸とする各種の準備牒の進捗状況を調査・検討するために、2001年11月の大法官の年次報告(Annual report on proposals for bringing fully into force those provisions of the Freedom of Information Act 2000 which are not yet fully in forceや、それに基づいて設立された「情報公開法実施のための諮門グループ」(Advisory group on Implementation of the Act)の議事録等を収集し・分析し、その準備作業の概要を把握するように努めた。第二の課題として設定していた、従来の状況の分析については、Monitoring Report for 2001等の資料収集にとどまっている。また、調査旅行によって現地の研究者や市民運動団体等と意見交換し、最新の資料収集することも計画していたが、スローペースな準備作業の進捗状況の考慮その他の事情で来年度に変更することにした。
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