研究課題
基盤研究(C)
1.2001年9月11日の対米テロ(「9・11」)以降、米国は、国内および国外の両面で対米テロに対する「予防」を顕著に強化しており、国内における対米テロ「予防」としての対テロ法制の整備、予防拘束・電子的監視の強化と、国外における対米テロ「予防」としての先制自衛・予防戦争とが、ともに「対テロ戦争」の一環として不可分一体のものであることを法制度の面から明らかにした。2.(1)米国においては、「9・11」以降、愛国者法、国土安全保障法をはじめとする多数の対テロ立法が制定され、これらの対テロ法制を通じて、司法的統制を受けることなしに、米国内外において個人に対する強制捜査、予防的拘束、盗聴・電子的監視を行う法執行機関・諜報機関の権限が飛躍的に拡大・強化されてきたことを法制度の側面から実証的に明らかにした。(2)法執行機関・諜報機関の、テロ対策を名目とした、強制捜査、予防的拘束、盗聴・電子的監視の拡大・強化の試みは、1990年代のクリントン政権時代から追求されてきたものであり、「9・11」以後に突如現れてきた傾向ではないことを実証した。(3)愛国者法の恒久法化・強化を目指した行政府・立法府の動向の分析を通して、対米テロに対する「予防」強化が、「9・11」ショックによる一時的な傾向ではなかったことを明らかにした。3.「9・11」以後の米国内における盗聴・電子的監視権限の拡大・強化が、「9・11」以後、米国が世界規模で展開している軍事作戦・軍の再編(トランスフォーメーション)と一体のものとして進行しているものであり、米国内におけるテロ対策のための捜査方法や監視技術も、軍事的合理性、軍事技術の決定的な影響を受けているものであることを解明した。4.「対テロ戦争」の米国内外での「予防」のためには、国内外でテロ情報・テロ対策情報の収集・分析にあたる諜報機関の能力強化がなによりも必要であり、そのため、2004年情報機関再編法によって米国諜報機関の再編が急ピッチで進められていることを法制度の側面から明らかにした。
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法律時報 増刊『憲法改正問題』
ページ: 207-211
神戸学院法学 35巻・1号
ページ: 75-122
Houritsujiho Special Issue
Kobe Gakuin Hogaku (The Law and Politics Review) Vol.35,No.1
法学セミナー 567号
ページ: 52-55
法律時報 増刊『憲法と有事法制』
ページ: 258-264
Hogaku Seminar No.567
Horitsujiho Special Issue