研究課題
今年度においては、e-Japan IIなどに示されるわが国の国の行政組織における電子政府化の動向と地方自治体の電子政府化の事例をふまえながら、電子政府や電子的行政手続の実現のために必要となる電子認証基盤の整備と、行政手続法、行政手続オンライン化法の現状の調査と課題の把握のための研究を実施した。電子署名を利用した電子文書の利用によって、行政内部の文書管理システムに求められる長期保存のための特殊な保存機能(長期的検証確保)や官民双方における時刻認証サービス(タイムスタンプ)の利用および長期保存のためのアーカイブ・システムの制度的な検討を中心に研究を進めることができた。今年度の研究成果としては、(1)電子政府とそれを支える認証基盤や関連法政についての各国との比較研究のプロジェクトの成果を公表することができたほか、(2)わが国でのITベンダーの技術者や標準化機関における標準策定の関係者との共同研究の実施、さらには(3)ドイツにおける電子文書長期保存のプロジェクト(ArchiSig)についての調査・分析を行うことができた。特に、署名付文書の長期保管の要求事項は、電子政府や電子司法を進めていく上では解決が求められる必須要件であり、その点についての調査研究が実施でき、タイムスタンプの不可欠な役割やその信頼性確保のための作業に参加することにより、来年度の最終的なまとめの作業に向けて、基礎的な調査研究を実施することができた。特に、署名つき電子文書の特性として、長期保管に際しての信頼性の低下・危殆化に伴う再署名(署名の効力延長)手続が必要なことなど、法的にも有意味な知見を獲得することができた。電子文書の長期保管については、来年度の成果公表に向けて準備作業を行った。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)
神戸法学雑誌 54巻4号(予定)
情報ネットワークの法律実務(多賀谷一照, 松本恒雄編)(第一法規)
ページ: 5441-5450
National Electronic Government, Routledde(Martin Eifert/Jan Ole Pueschel (ed.))(London, New York)
ページ: 136-181
タイムビジネスに関するドイツ動向調査報告書(タイムビジネス推進協議会)
ページ: 3-27
行政法の争点 第3版(芝池義一, 小早川光郎, 宇賀克也編)
ページ: 68-69
第24回医療情報学連合大会・特別企画・オーガナイズドセッション・ワークショップ大会資料CD-ROM収録資料 (CD-ROM)