本年度は、本研究プロジェクトの最終年度にあたるため、これまでの研究成果をまとめ、公表する準備作業をするとともに、これまでの研究調査で課題を残している点について、さらに研究調査を進めた。これまでの研究調査のうち、昨年度成立したいわゆるe文書法によって、民間部門での保存義務が課せられる文書の電子的な保存等が法令上認められることになったが、このe文書法の施行に伴って、民間部門での電子政府・オンライン行政手続への対応がどのように改善されてきているかについて調査研究を行い、現在、改正に向けての調査研究がすすめられつつある電子署名法についての課題のとりまとめと、改正作業に向けての学問的な準備作業を行った。これらの作業は、行政法の法システムとの関係でも、行政文書の電子的な長期保存や、タイムスタンプの利用による安全で信頼性のある電子文書管理・保存のシステムを構想するときに不可欠の避けて通れない法的課題である。今年度は、こうした電子文書の保存管理についての法制度研究を中心としながら、ドイツを中心とする諸外国での実証実験等の成果をも反映させつつ、必要な法制度設計にまで踏み込んだ法的要素を抽出しとりまとめた。こうした作業を通じて、従来の伝統的な行政法制が電子化・オンライン化にどのように対応すべきかの適合化の研究をひととおり実施しまとめることができた。
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