わが国でも、近年、e-Japan計画の進展など電子政府化の改革が急速に進められてきているが、それにともない、電子的な行政手続の実現のための改革がなされた(行政手続オンライン化法等)。これは、従来の行政手続を前提にして、その電子社会への接続を試みた法制度であり、またいわゆるe文書法で、民間側に保存義務が個別法令に基づき課されてきた文書についても通則としては電子的な作成・利用・保存等を認める改革がなされ、これも前述行政手続オンライン化法の基本的な構想に従うものである。 本研究では、こうした電子政府化に伴う法制度改革の必要性に着目してその制度改正の前後と今後の課題を明らかにしたが、特に、電子文書と紙文書の混在とその真正性確保のための法整備、そのためのタイムスタンプ(時刻認証サービス)の法的認知や、電子化文書・電子文書ともに、長期保存に向けての電子署名技術の特性に応じた、技術的な対応とそれを支援する法整備の必要性といった課題がなお存在していることが、明らかにできた。本研究プロジェクトが終了した次年度である平成18年度は、電子署名法の評価・検討を予定している年度であるが、その電子署名法についても、長期的に証拠としての安全性を確保するための技術とその法制度的な支援が必要であることを明らかにしている。
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