研究課題
基盤研究(C)
都市再生においては、魅力ある都市、土地の財産としての特性、成熟段階の都市のストック管理の課題から、計画の復権が求められる。しかし、その計画は、計画の決定、それにもとづく事業遂行、都市膨張を前提とした規制というものではありえない。新しい計画論とその手続的正当性、内容的正当性を構成する軸は何か。土地(地域空間)利用計画の担うべき価値は、(i)個人の人格保障-(i-1)安全の確保、(i-2)自由な人格の場としての居住の確保・安定、(ii)環境の保全-(ii-1)健康な環境の保全、(ii-2)自然環境の保全、(ii-3)地域の文化、都市像=アイデンティティの保全・形成、(iii)地区外の人にとっての"よい環境"の保全=安全・環境へのマイナス影響(外部性)を及ぼさない、(iv)経済的その他の社会的活動の円滑と整理できる。中でも居住と環境の価値は、地域形成の中心的主体の確保に関わるものであり、基軸となる。これらの諸価値の担い手団体として従来から法制上組み込まれてきたのが地権者の協動組織である公共組合であり、最近になって創設されたのが再開発会社である。しかし、再開発会社は「地権者会社」というに値する構成には,法律上はなっておらず、この組織形態が市場原理を生かすが故に公共性を担いうるとしながら、「財産権の剥奪」権力の行使によるという論理矛盾を来している。他方、公共組合は事業遂行上困難に直面しているが、そこで有限責任制と破産が法制上ないというのは、強制加入制とは論理的に矛盾するものである。改めて、地域特性を有する諸利益の即地的調整、ローカルルールとしての確定としての計画においては、「主権者たる国民」の地域版である住民によって構成される基本的統治組織、すなわち市町村の下、様々な利益・価値の担い手の協議と合意形成プロセスが重要である。同時に、訴訟という最終形態で担保された、個人・団体の、地域空間利用計画形成、その執行過程への適切な参加が評価されるべきであり、そのための訴訟制度・理論の構築が必要とされる。
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