1.研究の初年度であるため、WTO体制下での地域貿易協定の存立基盤を理論的に探求することに努めた。このため、地域的経済統合を肯定するGATT1947第24条の成立過程に関する文献資料の収集を、下記米国出張の際などに行い、文献資料の読解と分析に努めた。 2.WTOの紛争解決手続に付託された地域貿易協定に関する紛争事例の収集とその分析に着手した。いまだ分析の継続中のため、その成果の公表は次年度以降を予定している。 3.10月に「国際経済法と開発途上国」という統一テーマの下にワシントンで開催された米国国際法学会国際経済法部会年次大会に出席し、「グローバリゼーションと開発途上国の挑戦」、「開発途上国と国際経済法の役割」、および「開発途上国と地域主義」などのセッションに参加し、情報の収集と意見交換に努めた。 4.上記米国出張の際、ジョージワシントン大学法律大学院を訪問し、国際経済法を担当しているRaj Bhala教授に面談する機会をもった。同教授とはとくにNAFTAの動向に関して意見交換を行い、今後も継続的に情報交換を行うこととした。 5.地域貿易協定の制度設計に関連して、開発途上国を一方の当事国とするWTOの紛争事例を分析し、これを公表(英文)するとともに、とくに地域的経済統合としてのEUとWTOの関係について現況の分析に着手し、その成果の一部を簡単なノートとして発表した。 6.地域貿易協定の制度設計に当たってもっとも問題となる農業問題を検討する前提として、WTO農業協定の内容を分析し、その成果の一部を2003年4月に出版予定である。
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