研究概要 |
1.WTO協定に整合的な地域貿易協定の制度設計のために、今年度はとくに、個別の実体的および手続的貿易制度ごとにWTO法と地域貿易協定の内容の整合性を検討することに努めた。具体的には、(a)セーフガード制度、(b)アンチダンピング制度、(c)基準認証、(d)衛生植物検疫措置、(e)紛争解決手続などの個別制度について、WTO法とNAFTAや日本・シンガポール経済連携協定の内容を検討した。 2.開発途上国のWTOへの参加と地域統合への動きが活発化しているため、WTOにおける開発途上国の動向に注目した。とくに、開発途上国のキャパシティービルディング問題や新規加盟問題も検討の視野に入れ、インド、ベトナム、中国などの諸国の動向に注目した。また、平成15年6月にベトナムのハノイで開催された国際シンポジウム"WTO and Legal Reform in Vietnam,"(主催:Institute of State and Law, Vietnam, Ministry of Commerce, Vietnam, and Center for Asian Legal Exchange, Graduate School of Law, Nagoya University, Japan)に参加し、ベトナムのWTO加入問題について報告を行うとともに、東南アジア地域の地域統合と地域貿易協定の締結状況について情報を収集した。 3.平成15年6月にジュネーブのWTO本部で開催されたWTO公開シンポジウムに出席し、WTOにおける多角体制と地域貿易協定のインターフェース問題に関する取組状況について情報の収集と意見交換を行った。 4.地域貿易協定のWTO整合性問題の中で、もっとも問題となる農業問題についてWTO法の現況をまとめ、これを「国際経済法」という教科書の1章として発表することができた。
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