研究課題
基盤研究(C)
本研究は、グローバリズムとリージョナリズムのインターフェース問題として、WTO体制下での「地域貿易協定」(regional trade agreement)の制度設計がどのようになされるべきかを考察するものである。わが国も従来の多数国間主義を転換し、すでに多くの経済連携協定を締結しているが、これらの協定のWTO整合性を確保するためにも、本研究は重要な意義を有する。本研究では、第1に、グローバルな自由貿易体制の構築を目指すWTO体制が一部の加盟国による地域貿易協定の締結を許可するとすると、それはどのような理論的根拠に基づき、またどのような条件の下に行われるのかを検討した。第2に、WTO法と地域貿易協定のインターフェース問題として、紛争解決手続のオーバーラップ問題をとりあげた。すなわち、ある事項が同時に地域貿易協定とWTO協定の双方によって規律されている場合に、いずれの協定が適用されるべきか、いわゆる準拠法選択の問題や、また、そのような紛争の解決は地域貿易協定とWTO協定の紛争解決手続のいずれによるべきか、といういわゆる法廷地選択の問題である。その結果、地域貿易協定において現在一般的に採用されている紛争解決手続は、WTOの紛争解決手続との競合および抵触問題を必ずしも解決しうるものではなく、なんらかの調整のための新たな制度設計が必要であるという意味で、問題点の指摘はできたと思う。しかし、地域貿易協定の紛争解決手続について、具体的にどのような制度設計が望ましいかについては、各紛争解決法廷間の司法礼譲が望ましいとしたが、それ以上のより具体的な提言を行うにはいまだ至っていない。さらに、紛争解決手続は地域貿易協定の個々の規定の実効性を確保するという意味で制度全体に関わる問題ではあるが、本研究は主としてこの点に集中している。地域貿易協定の実体的制度についての全般的な制度設計の問題は残された大きな課題である。
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