研究課題/領域番号 |
14520043
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
瀬川 信久 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10009847)
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研究分担者 |
藤原 正則 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70190105)
小川 浩三 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (10142671)
高見 進 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20009848)
高田 賢治 関西学院大学, 法学部, 講師 (40326541)
福田 誠治 上智大学, 法学部, 助教授 (70250404)
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キーワード | 執行法 / 倒産法 / 担保権 / 先取特権 / 抵当権 / 競売 / M&A / 公証人 |
研究概要 |
本研究の課題は、近年の担保法・執行法・倒産法の変化の産業構造上の背景を明らかにしたうえで、これらの法領域を横断する法理を示すとともに、個別の立法論・法解釈論を提示することであった。 平成14年度は問題を広く検討し、2つの知見を得た。第1に、破綻事業の整理・再建作業の多様化・迅速化のためには、公的な執行・倒産手続のほかに、裁判所外での処理手続を拡充・整備が必要である。この点につき、フランスでは公証人・競売士が裁判所外執行制度を発展させ、裁判所内の執行・倒産処理に影響している。イギリスの私的整理では、管財官による行政機関監督型手続が1986年に改正され、現在では専門家団体・通産省が認定する倒産実務家が担当している。わが国では、倒産処理は倒産専門の弁護士が担当してきたが、近年のM&Aではインベストメントバンカー、公認会計士・税理士、弁護士が重要な役割を果たしている。第2に、手続の多様化・迅速化は担保権を新たな形で縮小させている。これに関しては、担保・執行法と会社更生法の改正作業、ドイツ倒産法における担保権を検討するとともに、担保権の形成過程と物権・債権の基本構造を検討した。 平成15年度は、近時の法改正と実務の動きの中から動産譲渡登記制度、証券化、債権者の担保保存義務の裁判例等を取り上げ、次のような知見を得た。ドイツでは、労働債権などを破産における優先債権を後退させつつ、基金により強く保護する。また、証券化は与信債権者が担保権を再建手続の拘束から外す側面を持ち(倒産隔離)、具体的な仕組みにはなお問題がある(マイカル事件)ものの、資産流動化法はこれを肯定的にとらえる。このように与信債権者が公的な執行・倒産手続から離脱できるから、担保権者、優先債権者、一般債権者相互の権利の調整につき多面的な評価が必要である。
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