(1)米国では、株主代表訴訟に関連して、特別訴訟委員会が重要である。アメリカでは「会社が損害賠償を求める訴訟を起こすか否かは、他の経営問題と同様、取締役会にその決定権がある」という考えを採用している。株主が取締役会に対し事前請求をせずに、代表訴訟を直接裁判所に起こした場合、取締役会は当該訴訟の却下を裁判所に申し立てすることができる。一方株主は、取締役会が訴訟に直接の利害関係を有し、いかなる提訴請求も自らの利益のために却下する危険性が高いことを立証すれば、取締役会への提訴請求は、免除される。その結果、株主はこの無益性を主張して直接裁判所に訴状を提出することも多い。裁判所は原告が提訴請求の無益性を立証できない場合には、会社側の訴え却下の申立を認める。裁判所が原告の主張する提訴請求の無益性を認めた場合、会社は取締役会が訴訟を提起するか、訴訟に利害関係のない取締役から構成される特別訴訟委員会を指名して、提訴の是非を判断させる。この際重要なのは、独立した弁護士の法的助言及び指導により特別訴訟委員会の調査がなされるているか否かである。模範事業会社法第7.44条(b)項2号は、特別訴訟委員会が2名以上の独立した取締役により構成されることを規定している。 (2)ドイツでは監査役会が取締役を任命するという2層性の制度が採用されている。監査役会の半数は社外の者ある。1994年以降ドイツ企業の国際競争力の強化を目的として頻繁な小改正が行われているが、重要な改正はコントラック法によりなされた監査役会と決算監査人との連繋である。透明性開示法はこれを強化すると共に、上場会社に対しドイツ・コーポレート規準に応じているか否かを附属説明書で開示すべきものとしている。さらに貸借対照表法改正法参事官草案、貸借対照表監督法参事官草案が公表されている。後者は米国のエンロン事件等のスキャンダルを契機としてドイツ会計監査機関等を新設しようとしている。
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