本年度は、頭書の研究課題に関する研究の第1年目なので、研究課題に関する日本の研究状況を把握することと、比較法的研究として家庭裁判所において離婚訴訟とこれに付帯する非訟事件とを結合審理するドイツの理論と実務の状況を把握することから始めた。前者については、現在人事訴訟法が立法課題となっている関係で立法資料やその根拠となっている文献を読み、その成果を「家庭裁判所はどう変わるのか」Causa2号、「人事訴訟法改正の制度的側面」ジュリスト1230号に発表し、また法律時報の座談会「人事訴訟手続法の見直し等に関する要綱中間試案をめぐって」に参加した。その準備として東京において文献調査を行った。 ドイツについては、2003年1月にフライブルク大学ドイツ・外国民事訴訟法研究所で、家族法ならびに家事訴訟に関する文献調査をし、同時に同地の家庭裁判所で非公開で行われる結合審理に立ち合わせもらい、かつ家庭裁判所の裁判官から聞き取り調査を行った。また、フライブルク高等裁判所で控訴審(単独)の審理にも立ち合い、その後家事部部長判事から聞き取り調査を行った。その結果、ドイツの結合審理は、日本の移管後の状況とかなり類似した審理実務であることが予想でき、比較の意義は大きいものの、結合における結びつきの度合いは日本ほどではなく、いつでも分離が可能であったり、上訴審で違いがでてくるなどの相違は見のがすことができない。これに関する成果の一部はすでに独文論分として投稿し、今秋公刊の予定である。
|