研究課題
基盤研究(C)
遺産分判に関して、フランス法では、公証人が伝統的に活躍しており、その結果、紛争の予防に大きな役割を果たしていることが、実務を検討することで理解できた。遺産分割にあたって、相続人が全員公証人の事務所に集合し、場合によっては、被相続人の債権者、相続人の債権者も参加することがある。このように関係者が一同に会して、遺産分割案が、公証人の指導によって作成されていく。この際に、公証人の指針になるのが民法典であることに注意が必要である。民法典に従えば、正義が実現できるという法典に対する信頼が存在している。相続人の確定方法、遺産の範囲、遺産管理の問題など、民法典に従って、遺産分割案が作成される。なかでも持戻や遺留分減殺請求もこの場で考慮される。これはほとんど、裁判による遺産分割と同じ内容になるといわれている。このように作成された遺産分割案に対して、相続人間で合意が得られれば、遺産分割が完了する。公証人の遺産分割に対する積極的な関与と、民法典に対する信頼の差が、日仏で大きな特徴として明らかになった。特に公証人に関与は、一方当事者の利益のために参加する弁護士とは異なり、関係当事者間で正義を実現するという役目に意味がある。このような法律家の位置付けが可能なところに、紛争の予防を果たしうる理由が存在しているといえる。フランス民法典の中に、遺産分割に関して、正義を実現できるシステムが存在しており、大いに参考になる。紛争予防を果たしうる機能の重要な要素は、民法典の中にある。この意味で、わが国の法定相続に関する規定を充実させることは重要である。この目的で、代襲相続に関しても分析を行なった。遺産分割は、法的な問題であり、もっぱら法の専門家によつて、進められる意味は紛争予防の観点から、重要であることが理解できた
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Droit de la famille (近刊)
Revue Droit de la famille (Juris-Classeur en rance) a pariatre
阪大法学 55巻3・4
ページ: 111-130
Osaka Law Review vol55, n.3-4
公証法学 33
ページ: 1-18
notaire Law Review vol.33