研究課題
基盤研究(C)
個人事業者とそれが依存する企業との間における利益調整システムに関し、本研究においては、まず、ヒヤリング調査などによってその実態に関する検討を行った。大量調査などが出来なかったため、その実態を完全にはつかむことはできなかったが、労働形態の変化などに伴い従来の労働者が個人事業者へと置き換わったり、また、企業リスクを個人事業者へと転嫁する事業形態の広がりを確認することができた。比較法的な観点から、ドイツ及びイギリスにおける議論状況を調査するとともに、オーストリアにおける議論やヨーロッパ全体における議論動向の把握を行った。その結果、労働法・社会保障法の適用対象に関し、かなり根本的な見直しの議論が生じており、本研究が対象としている個人事業者もそうした見直し議論では適用対象に含めて考えられる場合もあることが確認できた。理論的な研究においては、個人事業者に対して労働者と同様の集団的利益調整システムを適用する場合について検討を行ったが、労働者に関しても、現行のシステムが十分に機能していない現状では、問題点の方が大きいとの結論に達した。むしろ、近時、集団的利益調整システムの機能低下に伴い発展し始めている個別紛争の解決システムにおいて、利益調整を図る可能性の方が有望ではないかと考え、検討を行った。しかしながら、個別紛争解決システムは、なお、動き出して間もないものであり、制度面での検討は行えたものの、その実際の運用に関しては、なお検討することができなかった。この点は今後の課題である。
すべて 2005 2004 2002 その他
すべて 雑誌論文 (12件)
月刊ろうさい 564号
ページ: 4-7
日本労働法学会誌 104
ページ: 84-92
法律のひろば 578号
ページ: 33-41
季刊労働法 205
ページ: 25-37
司法研修所論集 111
ページ: 63-96
Nihonroudouhougakkasihi vol.104
Houritsu no Hiroba vol.57 NO.8
Kikan Roudouhou vol.205
Shihoukenkyusyoronsyu vol.111
月刊ろうさい 533号
Gekkan Rousai Vol.53, No.3
Gekkan Rousai Vol.56, No.4