本年は、フランスの刑事和解(刑事調停<mediation penale>及び刑事示談<composition penale>)についての研究を継続し、まとめるため、2003年8月に、フランスでの第3回(最終)現地調査を行った。 第3回現地調査では、グルノーブル大審裁判所を訪問し、検察官にインタビューを行った。さらに、昨年同様司法の家(Maison de Justice)を訪問し、刑事和解を実際に見学した。今回はグルノーブル被害者支援協会も訪問し、所長から刑事和解の理念や現在の問題点についてレクチャーを受けた。 次に、ボルドー大審裁判所に検察官を訪問し、電話による刑事事件の処理を見学した後、検察官代理人数人にインタビューを行った。また、少年の刑事和解を専門に行う部局の長を訪問し、少年に対する刑事和解と成年に対する刑事和解との相違に関する詳細なレクチャーを受け、非常に有意義であった。ボルドー社会復帰・保護観察センターでは、刑事和解人にインタビューを行った後刑事和解を見学した。最後に、前回同様パリ郊外ボビニー裁判所を訪問し、刑事和解を実際に見学し、調停人にインタビューを行った。 前回、リヨン検事局と市民による裁判外紛争センターを両方訪問することにより、両者間に役割分担をめぐるある種の確執があることが分かったが、今回の調査では、グルノーブルとボルドーでも検察官と市民組織の両者にインタビューすることによって同様の結果を得られたので、この傾向が全国的なものであることが裏付けられた。 これらの研究成果の一部は、既に簡単に紹介したが、未だ膨大な資料を分析し、まとめる作業が残っており、平成16年度中には著書として出版する予定である。
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