研究課題
基盤研究(C)
平成14年度〜15年度の2年間に、フランス語論文やインターネットを通じて情報収集すると共に、フランスのパリ(パリ第2大学、ボビニー裁判所、ナンテール裁判所、被害者支援協会)、リヨン(リヨン第2大学、リヨン司法の家、リヨン検事局)、グルノーブル(司法の家、被害者支援協会)、ボルドー(裁判所、司法監視および社会復帰センター、和解センター)での現地調査を行い、刑事和解(刑事調停及び刑事示談)についての理解・研究を深めた。特にリヨンでは、リヨン検事局と市民による裁判外紛争センターを両方訪問することにより、両者間に役割分担をめぐるある種の確執があることが分かった。これらフランスの代表的な3大都市における調査を通じて、フランスの刑事和解の全体像(理論と実際)を把握した結果、概ね以下のような知見が得られた。1)「刑事和解」という言葉の定義は一律ではない。フランスの首都パリとリヨン、グルノーブル、ボルドーの地方3都市では、用語の意味が一律ではない。2)1980年代半ば、フランスの一部地域(特にリヨン、ボルドー)の研究者や各種協会関係者によって自発的に開始された「刑事和解」の理念は、被害者に光を当て、刑事手続を国家の独占から再び私人(地域社会)の関与を許す手続へと変化させることにより、被害者と加害者の対話・和解を通した真の問題解決を目指すものであった(修復的司法)。3)フランスと日本では、犯罪増加による裁判所の負担減の要請や国民性が異なり、日本において刑事和解が近日中に導入される可能性はかなり低い。しかし、今後の民事ADRの拡充、刑事裁判員制度の導入等により、日本国民の司法参加に対する積極性が増せば、将来、刑事和解導入の可能性も視野に入ってこよう。そのような場合の比較法的資料として、本研究は意義のあるものと考える。
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阪大法学 54・1
ページ: 53-86
阪大法学 54・3
ページ: 31-56
Osaka Law Review vol.54, no.1
Osaka Law Review vol.54, no.3
ページ: 56
捜査研究 52・2
ページ: 48-52
Journal of investigation research vol.52, no.2
捜査研究 51・12
ページ: 28-31
Journal of investigation research vol.5, no.12