1 今年度の研究の中心として、小規模自治体の組織構造に関するデータの収集とデータ入力を行った。 (1)まず、課レベルのデータとして、群馬県と高知県のデータを収集・入力して比較を行った。その結果、県の違いから生ずる組織構成の違いはそれほど大きくないことがわかった。むしろ、人口規模の方が規定要因としてははるかに大きいことが明らかになった。 (2)係レベルのデータとしては、首都圏自治体のデータを収集し、入力を進めている(現在も進行中)。しかし、課係編成はバリエーションが大きく、統計分析等になじむ形式でデータを整備するのはなかなか困難である。 2 昨年度実施したヒアリング調査結果の分析を行い、小規模自治体組織の特徴を明らかにした。小規模組織では、人事管理が難しく、業務単位量も少ないため、ひとつの業務で課係を編成することが困難であるが、複数の業務を組み合わせて課係を編成することによって、思いがけない組織イノベーション(効率化や機動性の発揮)が生み出されることが明らかになった。この研究成果は群馬大学社会情報学部研究論集に発表した。 3 自治体間の相互参照(組織間関係)についても別途実施したアンケート調査の結果を利用して分析を行った。その結果、制度上同格の関係にある自治体間での相互参照が最も活発であることがあきらかになった。すなわち、市は市を参考とし、あまり町村を参考にしないこと、町村もモデルとする町村があればそちらを参照することなどがあきらかになった。これは、担当者レベルの調査であるが、昨年度分析した首長レベルの調査結果とも整合するものである。この研究成果は、社会情報学会の年報に発表した。 4 引き続き、民間企業の組織研究のサーベイを続けている。しかし、わが国では理論的、規範的な企業研究が多く、当研究に適用できるような組織構造を計量的に捉えようとする研究はまだ見つかっていない。調査を継続したい。
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