本研究は、全体として(1)選挙公約データの作成 (2)政策軸の抽出 (3)政治家レベルの分析 (4)政党レベルの分析 (5)政策レベルの分析 (6)補助的周辺的作業 を計画している。平成14年度は、(1)にまず全力をあげ、ある程度、データ作りが進捗した段階で既存のデータと合わせて(2)以下の分析作業に入り、(2)・(3)・(5)の一部を行う予定であった。まず、データの作成作業に関してであるが、既に作成していた1990・93・96年総選挙の部分的なデータに加え、この3回分の残り分のほとんどを完成させた(一部、未コーディング)。また、2000年、1986年、1983年、1980年については、相当部分のテキスト入力を済ませ、一部、コーディングを開始した。実際の作業としては、選挙公報の複写収集、研究補助者によるテキスト入力、コーディングの各作業を行った。これらのためにマニュアル・分類基準例を整備し、データの統一性に十分留意した。初年度の分析作業としては、先行して一部の県のデータを用いて、上記(2)の主成分分析をまず行った。これは、現代日本の政策空間を規定している政策軸を抽出するためであり、研究計画全体の中では(3)(4)の分析の準備作業であった。(3)の政治家レベルの分析については、まず(2)で抽出した政策軸上に各政治家を配置し、その政策位置を明らかにする作業を進めている。(4)の政党レベルの分析としては、(2)で抽出した政策軸が構成する政策空間上で9O年代の各党の位置を明らかにし、連立政権の形成崩壊に関する含意も含め、別記図書において公表した。次年度以降は、データの速やかな完成を目指すとともに、分析を充実させたい。具体的には、政治家や政党の政策位置を決める要因について検討する。また政策位置の政治的影響として政治家の政党選択行動等について分析をしたい。また上記(5)の政策レベルでの分析も行う予定でいる。
|