近年、年々相対的に大きくなっている政策のインパクトおよび、それが構成する現代日本の政策空間の実態とその影響を解明することが本研究の課題であった。そこで本研究は80年代以降の衆議院総選挙を中心に各候補者の選挙公約を政党・政治家・政策の各レベルで分析し、現代日本の政治過程における政策の意味・影響を実証的に明らかにする事を目標としてきた。当然、選挙公約データの作成作業がまず必要となるが、最終年度である本年度まで、専らこれらデータの作成・クリーニングに明け暮れた観がある。昨年度までに作業の進んだ90年代のデータの作成作業を終了させ最終的なチェックに入ったが、テキスト入力とコーディング作業内容の二段階で確認を行った。もれを補い、ばらつきを修正するのに相当時間を要した。また2000年および1986年総選挙での公約についても、徐々にコーディング作業を進め、確認を行っている段階である。さらに当初計画よりデータ作成範囲を遡る形でのデータ収集・入力を積極的に行った。これは90年代の政策の淵源を探るためであるが、分析を効率的に進めるためにコーディングに替わるデータ作成法(たとえばキーワード検索など)を模索している。2003年総選挙については、研究交流を活発に行っている他の研究者との間で、将来的な選挙公約データベースの構築を視野に入れながら、方法・内容の統一に努めている。 分析については、データの完成の遅れから刊行物の完成には至らなかった。今まで行ってきた分析の追試に加え、近接する政治家関連のサーベイデータの分析結果との総合等を試みている。具体的には、(1)データから政策軸を抽出し、(2)政治家レベルの分析・(3)政党レベルの分析を行っている。また政策レベルの分析として、地元利益関連政策、改革関連政策について分析を進めている。
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