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2004 年度 実績報告書

現代ネパールの政党政治

研究課題

研究課題/領域番号 14520102
研究機関長崎大学

研究代表者

谷川 昌幸  長崎大学, 教育学部, 教授 (10271214)

キーワードネパール / 南アジア / 途上国 / 開発 / 近代化 / 民主化 / 政党 / 議会
研究概要

ネパールの民主主義は,3つのレベルで評価しなければならない。理念としての民主主義は,最右翼の王党派から,中間のコングレス党や統一共産党,そして最左翼の毛沢東派共産党(マオイスト)まで,みな一致してその正当性を認めている。次に,制度のレベルで見ると,1990年憲法体制は先進諸国と比べほとんど遜色ないものであり,マオイストを除けば,どの主要政党もその正統性を認めている。ところが,運用のレベルで見ると,ネパールの民主主義諸制度は,その理念型とはほど遠い機能しか果たしていない。民主主義の理念は受容され,制度も整っているのに,実践が伴っていないのである。
民主主義運用の実践知が生育しないのは,ネパールの国教であるヒンズー教の強力な運命論(fatalism)にその根本的な原因がある。運命論は,民主主義の大前提である「独立の個人」の存在を困難とし,民主主義運用の実践知が生育する前提条件を奪ってしまっている。もしネパールが,このまま1990年憲法規定の民主主義を政治目標とし続けるのなら,この運命論の問題を避けて通ることはできない。逆に,もし運命論がネパール文化の核心であり,変えられないのであれば,ネパールは別の形の統治を政治目標とせざるを得ない。
ネパールの市民,政治家,そして知識人ですら,この根本的問題をこれまで直視せず,回避してきた。そのため,実践知なしの1990年憲法体制は運用に行き詰まり,それを背景にマオイストの人民戦争が拡大し,いまやネパールは国家破綻の瀬戸際にある。
ネパール国民はむろんのこと,ネパール危機に対処しようとしている国際社会もまた,民主主義におけるこの「人間の問題」を直視せざるを得ない状況になっている。本研究は,こうした観点から,ネパール政党政治の現状分析を行いつつ,ネパールの人間論的特質と政治との関連および問題点を解明した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 途上国の構造的暴力と平和-グローバル化時代の平和貢献-2004

    • 著者名/発表者名
      谷川昌幸
    • 雑誌名

      長崎平和研究 17

      ページ: 125-133

  • [雑誌論文] デウバ内閣の平和予算2004

    • 著者名/発表者名
      谷川昌幸
    • 雑誌名

      会報(日本ネパール協会) 186

      ページ: 11

  • [図書] アジア憲法集2004

    • 著者名/発表者名
      谷川昌幸ほか22名(著・訳)
    • 総ページ数
      1093
    • 出版者
      明石書店

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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