第二年度に当たる本年は、昨年と引き続いての活動を通じて研究内容を深める。昨年と同様に中国、シンガポールおよび台湾での海外調査および海外研究機関おける研究交流、資料収集を行う。また、国内の研究者との意見交換、さらに関係機関での聞き取り調査の実施を予定。 しかるに、昨年度末からのSARS蔓延により、中国、台湾、シンガポールへの渡航自粛を勧告され海外調査実施を大幅に制限された。その結果、今年度予定していた台湾での調査が実施できなかった。今年度は、国内の新華僑の実態調査を重点的に行った。おりしも中国人犯罪が多発したことから、主だった各府県警察や入管、海上保安庁などの取締り機関での聞き取り、調査を行った。海外へは、平成15年12月に北京へ、翌年1月にシンガポールへと現地調査を実施した。 今年度の研究成果として、研究代表者徳岡と研究分担者小木は共同で「僑郷としての福建省福清地方と人口移動について一人口移動の背景を巡る初歩的考察」『問題と研究』第32巻第12号(2003年9月刊)を執筆。徳岡は単独で「中国共産党第十六期三中全会-胡錦涛同志を総書記とする党中央」『問題と研究』第33巻第4号(2004年1月刊)、「外国人犯罪危険度マップ」『Yomiuri Weekly』第2893号(2003年11月16日刊)においてコメントし、最近の外国人犯罪とくに中国人の問題について現状を分析する。今年度の成果は、平成16年7月に研究代表者徳岡と同分担者小木の共同執筆にて「中国からの違法移民と犯罪」と題して公表する予定である。
|