本年度の研究計画、南洋群島「植民地社会」の「外国人」を中心とした調査、分析について、キリスト教宣教師の活動に焦点をあてて調査を行い、またミクロネシア側で発行された研究文献の収集、分析を進めた。しかし、調査中に朝鮮半島からの「農業移民」に関する史料発掘という予定外の成果があったことから、朝鮮半島出身者「農業移民」の調査、具体的には日本国内の史料館はじめ、韓国政府記録保存所での調査を行った。キリスト教宣教師、宣教活動については、次年度に継続調査する。また、第二の計画項目、教育を受けた世代の日本人移民については、サイパン高等女学校や南洋興発附属専習学校、熱帯産業研究所訓練生などの卒業生の調査を進めた。さらに、南洋群島移民の第二位出身地域である八丈島出身者、パラオ支庁アンガウル島という情報が極めてすくない島からの帰還者、サイパンの商業者について聞きとり調査を行った。年間を通じて、南洋群島帰還者による社会団体の諸会合の取材を行い、サイパン島での慰霊・墓参、沖縄県慰霊の日での南洋群島開拓殉難者・戦没者慰霊、全国南洋会磐梯熱海大会などに参加し、聴き取りや史料の提供を得た。以上の調査に基づき、日本移民学会第13回年次大会シンポジウム「沖縄移民と世代の継承」(2003年6月28日、於琉球大学)で「南洋群島への沖縄移民と「日本認識」-サイパン島南洋興発(株)下の移民を中心に」を報告し、また後掲の論文を発表した。
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