平成16年度は、この研究の最終年度にあたった。研究の成果をまとめることに重点をおいた1カ年であった。ただ、平成16年12月に至って、中越地方を大規模な地震が発生したこと、それに年末になってインドネシアを震源とする地震から想像を絶する津波被害がインド洋に面した地域で発生したことは、予想外の出来事であった。中越地震に関しては、発生後、数週間をおいて現地視察を試みたが、なお現地は混乱しており、当初、考えていた面談調査などは迷惑でもあり、今回はひかえることにした。 そのような突発的な大事件があったが、研究成果をまとめることには最大限の時間を割いた。成果の一つは、英語による業績である。英文のタイトルは、"Safety and Security in Japan: Creating Crime Free Communities through Government and Citizen Collaboration"である。それを、2004年10月6日にサモア共和国で開催されたアジア行政学会(Eastern Regional Organization for Public Administration)で発表した。これは、まもなくAsian Journal of Public Administrationに掲載される予定になっている。 今年度の研究のもう一つの成果は、研究書の刊行である。これまで科研費を使って研究を進め、それを様々な形の論文として公表してきた。今回、そのうち「危機管理と行政」と「自治体と不測事態の発生」を基本に、その中身を一新し、『危機管理と行政』というタイトルで刊行することにした。ちなみに、これはわたくしが編著者で発行所はぎょうせい、発行予定日は2005年3月31日になっている。 さらに、今年度はタンカーによる石油流失事故や、北朝鮮船籍の貨物船による座礁事故についても研究した。それらの事故は、福井県や茨城県などの自治体を苦しめた。この点、現行の国際条約には欠陥が見られる。それを都市センターの報告書で紹介した。
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