研究課題/領域番号 |
14520119
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
土倉 莞爾 関西大学, 法学部, 教授 (00067703)
|
研究分担者 |
野田 昌吾 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (50275236)
中山 洋平 東京大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (90242065)
田口 晃 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30113583)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
キーワード | キリスト教民主主義 / 西ヨーロッパの政党制 / オーストリアのキリスト教民主主義 / フランスのMRP / アクシオン・カトリック / ドイツのキリスト教民主同盟・社会同盟 / 2002年ドイツ総選挙 / 保守勢力 / conservatism |
研究概要 |
キリスト教民主主義と西ヨーロッパの政党制をめぐっての共同研究は、平成14年度において、土倉莞爾、田口晃、中山洋平の3名、平成15年度はこれに野田昌吾が加わった共同研究であった。当初の計画は平成14・15年度に研究分担者がそれぞれのテーマに関する研究経過を交流するというものであった。四回の研究会を実施できた。 これらの成果は、土倉莞爾「ヨーロッパキリスト教民主主義試論」『関西大学法学論集』第53巻第1号、平成15年、56-116頁に結実した。 共同研究者の一人田口晃は、オーストリアのキリスト教民主主義について、第2次大戦後、教会と距離を置く民主主義政党として再出発したオーストリア国民党に焦点をあてて研究を進めた。 井同研究者の一人中山洋平は、「例外としてのフランス:なぜキリスト教民主主義政党は根付かなかったのか」『年報政治学2001年』(平成14年、岩波書店)を公刊していたが、引き続き、フランスのMRPについて精力的な研究を進めた。中山によれば、MRPは、50年代以降の選挙での後退のため、満足な政治的昇進の機会を確保できず、優秀で野心的な若者を党に引き付け、留めておくことができなかった。後にMRP幹部となる戦間期のアクシオン・カトリックのリーダー層に匹敵する有力な指導者を得られなかったMRPの青年運動は、第四共和制末期の「政治の季節」に至るまで低迷を続けた、と結論づけられる。 共同研究者の一人野田昌吾は、ドイツのキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)の50年代の歴史分析とともに、石油危機以降の大きな経済社会変容、国際環境の変容に対応を迫られている現在の同党に関して精力的に分析を進めている。その成果の一端は、2003年度日本比較政治学会研究大会報告「混迷からの脱出は見えてきたか?--2002年ドイツ総選挙とキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)」で発表された。野田が主張するように、2002年総選挙でCDU/CSUが与党SPDに肩を並べることに成功はしたが政権奪取には失敗したいう事例は、ヨーロッパでこの間見られる保守復調の背景と限界を、キリスト教民主主義に着目して、保守勢力が勝利した国の事例とはまたやや異なった角度から照らし出しているものと思われる。
|