多数財オークション・モデルは、多数の非分割財と貨幣が取引される一般均衡モデルとみなすことができます。一般均衡モデルにおける代表的均衡概念であるワルラス型競争均衡によってもたらされる資源配分は、多数財オークション・モデルにおいても重要であることが、多くの研究によって示されています。本年度に取り組んだ研究は、多数の非分割財と貨幣が取引される一般均衡モデルにおけるワルラス型競争均衡の存在証明です。 標準的な一般均衡モデルおいて選好に関する非常に弱い仮定の下でワルラス型競争均衡の存在を証明したShafer-Sonnenshein(1975)の方法を用いることにより、均衡の存在証明を以下のように行いました。 1)多数の非分割財と貨幣が取引される一般均衡モデルにける所与の価格qベクトルに対して、最低均衡価格ベクトルp(q)が存在するbilateral marketを構築する。 2)p(・)はコンパクトな凸集合の上の連続関数なので、プラウアーの不動点定理により、p(・)の不動点q^*=p(q^*)が存在する。 3)q^*が、元の多数の非分割財と貨幣が取引される一般均衡モデルのワルラス型競争均衡であることを証明する。 本研究の証明は、Shafer-Sonnenshein(1975)と同様に、非分割財の消費に対して、消費者間で外部性がある場合に適用できます。
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